「借方・貸方」でつまずく理由

簿記3級の学習でほとんどの人が最初にぶつかる壁が「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」です。名前だけを見ると「借りたお金」「貸したお金」のように意味を想像してしまいますが、実際には単なる「左側」「右側」を指すラベルにすぎません。意味を深読みしようとすればするほど混乱するので、まずは意味を考えるのをやめて、位置の暗記に切り替えるのが近道です。

覚え方①:位置は語呂合わせで固定する

もっとも定番の覚え方は、「借(か)りかたは左、貸(か)しかたは右」とセットで唱えることです。「かりかた」の「り」が左払いのひらがなの形、「かしかた」の「し」が右払いの形に似ている、という語呂で紹介されることが多く、一度声に出して覚えてしまえば以後迷うことはありません。

仕訳を書くときに毎回「借方=左、貸方=右」という前提を疑わなくて済むようになると、次のステップである「何を借方に書き、何を貸方に書くか」の判断に集中できるようになります。

覚え方②:5要素のどちら側で増えるかを表で覚える

位置が固定できたら、次に覚えるのは「資産・負債・純資産・収益・費用」という5つの要素が、それぞれ借方と貸方のどちら側で増えるかというルールです。これも丸暗記ではなく、次の表を1枚覚えるだけで整理できます。

要素増えるとき減るとき
資産(現金・預金など)借方(左)貸方(右)
費用(家賃・食費など)借方(左)貸方(右)
負債(未払金・ローンなど)貸方(右)借方(左)
純資産(貯蓄・元入金など)貸方(右)借方(左)
収益(給料・利息収入など)貸方(右)借方(左)

「資産と費用は左側の仲間、負債・純資産・収益は右側の仲間」というグループ分けだけ覚えておけば、あとは取引ごとに「何が増えて何が減ったか」を当てはめるだけで仕訳が組み立てられます。

家庭の取引で仕訳を練習してみる

覚え方を使って、実際の家庭の取引を仕訳にしてみましょう。

例1:給料25万円が普通預金口座に振り込まれた

借方金額貸方金額
普通預金250,000円給与収入250,000円

「普通預金という資産が増えた」ので借方(左)、「給与収入という収益が発生した」ので貸方(右)に書きます。資産と収益がそれぞれ表通りの側に来ていることを確認してみてください。

例2:電気代8,000円が普通預金口座から引き落とされた

借方金額貸方金額
水道光熱費8,000円普通預金8,000円

「水道光熱費という費用が発生した」ので借方(左)、「普通預金という資産が減った」ので貸方(右)です。費用は資産と同じ「左側の仲間」なので、発生したときは必ず借方に書きます。

例3:住宅ローン10万円(元本9万円・利息1万円)を口座から返済した

借方金額貸方金額
住宅ローン90,000円普通預金100,000円
支払利息10,000円

ローンの返済には「負債(住宅ローン)が減る部分」と「費用(支払利息)が発生する部分」が混ざっています。負債の減少は借方、費用の発生も借方なので、どちらも左側にまとめて書き、貸方には減った資産(普通預金)だけを書きます。1つの取引でも要素ごとに分解して考えれば、表のルールがそのまま使えることが分かります。

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookで実際にやってみる

BokiBookでは、取引を入力するときに借方・貸方それぞれの科目をリストから選ぶだけで、上記のような仕訳をそのまま記録できます。科目には「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の分類があらかじめ設定されているため、覚えたばかりの5要素のルールを画面上で確認しながら入力を進められます。

給料の受け取りを登録すれば、貸借対照表の預金残高と損益計算書の収益がその場で連動して増え、電気代のような費用を記録すれば、その月の家計の収支にすぐ反映されます。住宅ローンの返済のように借方が2行に分かれる仕訳も、明細行を追加するだけで対応できるので、紙やExcelで計算する手間はかかりません。

まずは今月の給料や固定費など、身近な取引から借方・貸方を意識した記帳を試してみることをおすすめします。