クレジットカードで買い物をした日と、実際に口座からお金が引き落とされる日はズレます。このズレを複式簿記の「未払金」という負債科目でどう記録するか、一括払いだけでなく分割払い・リボ払いで利息が発生するケースまで、具体的な金額の仕訳で解説します。

クレジットカードは「後払い」の仕組みそのもの

クレジットカードには締め日と支払日があります。たとえば毎月15日が締め日、翌月10日が支払日のカードなら、10月3日にスーパーで食費8,000円を払った場合、その利用は10月15日までの利用分としてまとめられ、実際に口座から引き落とされるのは11月10日になります。使った日から引き落とし日まで、およそ1か月のズレが生じるわけです。

単式簿記の家計簿アプリでこの取引を記録しようとすると、悩ましい選択を迫られます。使った日に支出として記録すれば、まだ口座からお金は減っていないのに支出が計上されたことになりますし、引き落とし日に記録すれば、10月に使ったお金が11月の支出として現れ、月ごとの支出額が実態とズレます。どちらの方法を選んでも、「いつ使ったか」と「いくら口座に残っているか」のどちらかが正確に表せません。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

使った日と払った日、両方を正しく記録したいなら、単式簿記の「1回だけ記録する」というやり方では足りないんだ。2つの出来事として別々に記録する必要がある。それが複式簿記の未払金という考え方だよ。

未払金という負債で「あとで払う義務」を記録する

簿記でいう負債とは、将来お金や物を渡す義務のことです。クレジットカードで買い物をすると、お店への支払いはカード会社がいったん立て替えてくれますが、そのカード会社に対して「あとで支払う義務」が自分に発生します。この義務を表す勘定科目が未払金です。

クレジットカード払いの取引は、次の2つの仕訳に分けて考えます。

  1. 使った日:費用(または資産)が発生し、同時に未払金という負債が増える
  2. 引き落とし日:未払金という負債が減り、同時に普通預金という資産が減る

この2段階に分けることで、「いつ何にいくら使ったか」を使った日の時点で正確に記録しながら、口座残高は引き落とし日にしか動かないという実態も同時に表せます。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

負債が増えるのは「まだお金を払っていないのに、モノやサービスは先に受け取った」状態のこと。未払金の残高を見れば、今カード会社に対してどれだけの支払い義務を抱えているかが、いつでも分かるんだ。

具体的な仕訳で見る一括払いと分割払い

一括払いの場合

例:10月3日、スーパーで食費8,000円をクレジットカード(一括払い)で支払った

購入日(10月3日)の仕訳
借方金額貸方金額
食費8,000円未払金8,000円
引き落とし日(11月10日)の仕訳
借方金額貸方金額
未払金8,000円普通預金8,000円

購入日には「食費という費用が8,000円発生した」ことと「未払金という負債が8,000円増えた」ことを記録します。この時点では口座からお金は減っていません。引き落とし日になったら「未払金という負債が8,000円減った」ことと「普通預金という資産が8,000円減った」ことを記録し、義務が果たされたことを表します。もし同じ買い物を現金で支払っていれば、食費8,000円・現金8,000円という1回の仕訳だけで完結します。現金払いは資産が直接減るだけの取引ですが、カード払いは未払金という負債を一度経由する2段階の取引になる、という違いです。

分割払い・リボ払いで利息が発生する場合

家電量販店で80,000円のノートパソコンを購入し、3回の分割払いにした、というケースを考えます。分割払いには手数料(利息)がかかることが多く、今回は手数料が合計2,400円、3回均等払いとします。1回あたりの支払額は27,466円(元金26,666円+利息800円、端数は最終回で調整)になります。

ここでつまずきやすいのが、未払金に計上する金額です。「分割払いにした金額」をそのまま未払金として計上すると、利息分まで負債として膨らんでしまい、しかも引き落としのたびに未払金がぴったり均等額ずつ減らなくなります。正しくは、購入時点では商品の取得原価である80,000円だけを未払金に計上し、利息は引き落としのたびに支払利息という費用として別に計上します。

購入日(10月3日)の仕訳
借方金額貸方金額
消耗品費80,000円未払金80,000円
1回目の引き落とし(11月10日)の仕訳
借方金額貸方金額
未払金26,666円普通預金27,466円
支払利息800円

このように分けると、未払金の残高は元金の返済分だけ確実に減っていき、支払利息という費用は引き落としのたびに損益計算書へ正しく反映されます。利息を含めた金額をまとめて未払金にしてしまうと、完済したはずなのに未払金の残高がゼロにならない、という食い違いが起きます。分割払いやリボ払いを使う場合は、契約時に元金と利息の内訳を必ず確認しておくことが欠かせません。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

分割払いで一番間違えやすいのは、利息まで未払金に含めてしまうこと。未払金は「あとで払う元金の義務」だけ。利息は払うたびに支払利息という費用として、その都度計上するんだよ。

複数のカードを使っているときの管理の判断

家族カードや、生活費用と大きな買い物用でカードを使い分けている場合、未払金をどう管理するかは判断が分かれるところです。BokiBookのようなアプリでは、カードごとに別の負債科目(例:「未払金(生活カード)」「未払金(家族カード)」)として登録することも、ひとつの未払金科目にまとめることもできます。

カードを分ける利点は、貸借対照表を見たときにどのカードにいくら残高が残っているかが一目で分かることです。反対にまとめる利点は、勘定科目の管理画面がシンプルになり、家計全体の「後払いの合計額」をひとつの数字で把握しやすくなることです。カードの枚数が2〜3枚程度なら科目を分け、4枚以上になってきたら合計額の把握を優先してまとめる、というのがひとつの目安になります。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

科目を分けるかまとめるかに正解はないんだ。「どのカードにいくら残っているか」を知りたいなら分ける。「後払いの合計がいくらか」だけ分かればいいならまとめる。自分が家計簿を見て何を知りたいかで決めよう。

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookで実際にやってみる

BokiBookでは、クレジットカードを負債の勘定科目として登録しておくことで、カード払いの2段階の仕訳を意識せずに記録できます。買い物をした際は、仕訳入力画面で借方に「食費」などの費用科目、貸方に登録済みのクレジットカードを選んで金額を入力するだけで、自動的に未払金が増える仕訳として記録されます。

BokiBookの貸借対照表。負債の部にクレジット未払金81,800円が並んでいる
貸借対照表の負債の部です。クレジット未払金81,800円が、住宅ローンや自動車ローンと同じ負債として並びます。まだ引き落とされていないだけで、すでに背負っている支払い義務だということが一目で分かります。
BokiBookの仕訳入力画面。借方と貸方に勘定科目と金額を入力する
仕訳入力画面です。借方に費用科目、貸方にクレジットカードの負債科目を選んで金額を入力するだけで、未払金が増える仕訳として登録できます。分割払いの場合は、この画面で借方をさらに1行増やし、元金と支払利息をそれぞれ別の行で入力します。

後日、実際に口座から引き落とされた際は、その引き落とし取引を登録するだけで、クレジットカードの負債残高が減り、普通預金の残高が減る仕訳が記録されます。貸借対照表の画面を開けば、まだ引き落とされていないカード利用額がいくら残っているかを、いつでもひと目で確認できます。分割払いの支払利息も、ローンの利息と同じ考え方で費用として積み上がっていくので、今どれだけ利息を払っているのかも見えるようになります。

どんぐり
どんぐりのまとめ

一括払いなら仕訳は2本だけ。分割払いなら、利息の分だけ引き落としのたびに支払利息を計上する。この違いさえ覚えておけば、クレジットカードの家計簿は迷わず記録できるよ。