会社の経理には、一定の期間の取引を締めくくって帳簿を確定させる決算という区切りがあります。BokiBookでは、この決算を1か月ごとにボタン一つで実行できます。何が自動で計算されるのか、いつ実行できるのか、締めた月をどう守るのか、そして同じ月に二回実行してしまったときの落とし穴まで、具体的な金額で解説します。
家計を毎月締めるという考え方
会社の決算では、減価償却費のような見積りの項目を反映し、その期間の収益と費用を相殺して利益または損失を確定させ、その利益を純資産に組み込みます。家計簿では聞き慣れない言葉ですが、これを家計でやると「先月、我が家の家計は黒字だったのか赤字だったのか」を一つの金額として確定できます。
BokiBookの決算は月次決算です。9月が終わったら9月を、10月が終わったら10月を締める、という形で1か月ずつ区切っていきます。月末に締める習慣をつけておくと、使いすぎた月にすぐ気づけます。1年が終わってから振り返るより、ずっと早く手を打てます。
毎月の決算を積み重ねれば、1年分の成績もきちんと残ります。12回分の当期純利益は、そのまま純資産に積み上がっていきます。年単位の振り返りの方法は、この記事の最後で紹介します。
決算は会社だけのものじゃないよ。毎月締めれば、その月が黒字だったか赤字だったかがすぐに確定する。1年待たずに家計の変化に気づけるのが、月次決算のいいところなんだ。
決算で自動的に行われる3つの処理
9月の収入が給与320,000円と副業の事業収入50,000円で合計370,000円、食費や日用品費、住宅ローンの支払利息、車の減価償却費25,000円などを合わせた費用が187,820円だった家計を例にします。9月の決算を実行すると、次の3つの処理が自動で順番に行われます。
- 減価償却費の計上 固定資産台帳に登録した車やパソコンについて、その月の分の減価償却費を仕訳します。
- 収益と費用の損益振替 その月に発生したすべての収益と費用の科目残高を、損益という一時的な科目に集めて相殺し、当期純利益または当期純損失を計算します。
- 繰越利益剰余金への振替 計算された当期純利益を、繰越利益剰余金という純資産の科目に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給与収入 | 320,000円 | 損益 | 370,000円 |
| 事業収入 | 50,000円 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 187,820円 | 食費や減価償却費など各費用科目 | 187,820円 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 損益 | 182,180円 | 繰越利益剰余金 | 182,180円 |
収益370,000円から費用187,820円を差し引いた182,180円が、9月の当期純利益として繰越利益剰余金に積み上がります。費用が収益を上回った月は、逆向きの仕訳で繰越利益剰余金が減り、当期純損失として記録されます。この流れは、簿記3級で学ぶ決算整理から損益振替、資本振替までと同じです。手で計算すると科目の数だけ手間がかかる処理を、BokiBookは仕訳としてまとめて記帳します。
ひとつ気をつけたいのは、減価償却費がこの決算で計上されるという点です。費用187,820円のうち25,000円は減価償却費で、お金は出ていません。それでも費用として差し引くのは、車やパソコンの価値がその月の分だけ目減りしたと考えるからです。現金の出入りだけを見る家計簿では、この目減りが見えないまま黒字に見えてしまいます。
やっていることは3ステップだけだよ。収益を損益に集める、費用も損益に集める、残った差額を繰越利益剰余金に積む。減価償却費もここで差し引かれるから、車の目減りまで含めた本当の黒字額がわかるんだ。
決算を実行する手順
- 画面右上の歯車アイコンから各種設定を開きます。
- 会計期間設定で、締めたい月の対象年と対象月を選びます。9月を締めるなら2026年と9月度を選びます。その下に、決算の対象になる期間が2026/9/01から2026/9/30のように表示されます。
- 自動決算のボタンをタップします。
- 確認画面に、対象期間と、これから行う3つの処理の内容が表示されます。対象の月が合っていることを確かめてから、自動生成を実行をタップします。
- 減価償却費の仕訳、損益振替の仕訳、繰越利益剰余金への振替の仕訳がまとめて登録されます。同時に、その月の末日までの仕訳がロックされます。
実行が終わると、画面下部に完了の案内が表示され、決算締め以前のデータを編集できないようにするスイッチがオンに切り替わります。保護される日付は、締めた月の末日です。
月を選んで、ボタンを押して、確認画面で月を確かめて実行。これだけだよ。実行するとその月の末日までが自動でロックされるから、締めた数字があとからずれる心配もないんだ。
月が終わるまでは決算できない
決算を実行できるのは、対象の月が終わった翌日からです。10月度を締められるのは11月1日以降で、10月31日当日もまだ実行できません。月の途中や最終日に自動決算をタップすると、この期間はまだ終わっていません、という案内が表示され、決算は行われません。
最終日も実行できないのには理由があります。決算を実行すると、その月の末日までの仕訳がロックされるからです。たとえば10月31日の昼に10月を締めてしまうと、その日の夜に払った外食代3,800円を記帳しようとしても、ロックに阻まれて入力できません。固定費の一括計上も、ロックされた月には計上できなくなります。月の途中で締めた場合はなおさらで、残りの日数分の収入や支出をすべて記帳できなくなります。
月末に締めたくなったら、翌月の最初の週に、前月のレシートやカードの明細を入力し終えてから決算を実行するのがおすすめです。カードの利用分は明細に載るまで数日かかることもあるので、少し余裕を見てから締めると、あとで記帳漏れに気づいてロックを外す手間が減ります。
締められるのは、月が終わった翌日からだよ。急いで締める必要はないから、前月分のレシートや明細を入れ終わってから、落ち着いて実行してね。
同じ月に二回実行すると何が起きるか
決算を実行した後に入力漏れに気づき、もう一度同じ月の決算を実行したくなることがあります。そのまま二回目を実行すると、減価償却費の仕訳と損益振替の仕訳が二重に計上され、当期純利益が本来の2倍近い金額で繰越利益剰余金に積み上がってしまいます。9月の例なら、182,180円のはずの利益が364,360円近く積まれてしまう計算です。
これを防ぐため、BokiBookは決算済みの月で自動決算をタップすると、この期間は決算済みです、という案内を表示し、再実行しないようになっています。それでもやり直したい場合の正しい手順は次のとおりです。
- 決算締め以前のデータを編集できないようにするスイッチを、いったんオフにします。
- 仕訳一覧で、その月に自動生成された決算の仕訳を探します。摘要が【決算整理仕訳】または【決算整理】から始まる仕訳がそれにあたります。
- 入力漏れだった仕訳を追加し、その月の決算の仕訳をすべて削除します。
- スイッチをオンに戻してから、決算を再実行します。
スイッチをオフにしたまま日々の記帳を続けると、締めた月のデータをうっかり書き換えてしまうおそれがあります。やり直しが終わったら、スイッチがオンに戻っていることを必ず確かめてください。
同じ月を二回締めると、利益が二重に積まれてしまうよ。やり直すときは、ロックを外す、古い決算の仕訳を消す、ロックを戻す、再実行する、の順番を守ってね。
ロックで締めた月を守る
決算を締めたあとに過去の仕訳を編集したり削除したりすると、確定したはずの当期純利益がずれてしまいます。決算を実行すると自動でかかるロックは、この事故を防ぐための仕組みです。ロックは決算と同じくProプランの機能です。
保護する日付は、ロック基準日を変更のボタンから手動で選び直すこともできます。ただし、決算を締めた日付より前に戻すと、締めた月の仕訳が再び編集できる状態になります。基準日を動かすのは、前の見出しで説明した決算のやり直しのときくらいにとどめ、ふだんは決算で自動的に設定された日付のままにしておくのが安全です。
ロックは締めた月を守る鍵だよ。決算をやり直すとき以外は、かけっぱなしにしておくのがいちばん安全なんだ。
毎月の決算を積み重ねて1年を振り返る
月次決算を12回積み重ねると、1年分の成績も自然に残ります。損益計算書の画面で自由範囲指定をタップし、1月1日から12月31日までを選ぶと、その1年の収益と費用の合計、そして1年間の当期純利益が表示されます。決算で行った損益振替の仕訳は損益計算書の集計から除かれるので、毎月締めていても、1年分の収益と費用はそのまま合計されます。
9月のように182,180円の黒字の月もあれば、帰省や家電の買い替えで赤字になる月もあるはずです。月ごとの当期純利益を並べてみると、どの季節に出費がかさむのかが見えてきます。翌年はその月に備えて、前の月から少しずつ貯めておく、といった手が打てます。
単に支出を記録するだけの家計簿では、車の減価償却まで含めた本当の黒字額を、月ごとにも年単位でも一つの数字にまとめることはできません。月末から数日たったら前月を締める。この小さな習慣で、我が家の家計の成績表が1か月ずつ積み上がっていきます。
毎月締めておけば、1年の振り返りは損益計算書で期間を選ぶだけ。月ごとの黒字と赤字を並べて、来年の作戦を立ててみてね。