副業やフリーランス案件の報酬を、本業の給与と同じ「収入」にまとめて記録していませんか。それでは副業が実際にいくら家計の助けになっているのか、源泉税が引かれた分がどこに消えたのかが分からなくなります。勘定科目の分け方と、確定申告に直結する仕訳の作り方を、具体的な金額で解説します。
副業収入を「給与」とひとまとめにすると、家計の実態が見えなくなる
会社員が副業やフリーランス案件で収入を得るケースが増えています。しかし多くの家計簿アプリでは、振り込まれたお金を「収入」という1つの科目にまとめて記録してしまいがちです。これでは、本業の給与と副業の収入がいくらずつあるのか、副業のために使った経費はいくらだったのかが、あとから見返しても分かりません。
簿記では、収益は勘定科目ごとに分けて記録するのが基本です。給与は「給与収入」、副業は「事業収入」というように科目を分け、副業のために支払ったパソコン代や通信費は「事業経費」として記録することで、副業が実際にいくら家計の助けになっているのかを正確に把握できます。たとえば月20,000円の副業収入があっても、そのために月8,000円の経費がかかっているなら、実質的な手取りは12,000円です。収入と経費を1つの科目に混ぜていると、この実質的な貢献度がずっと見えないままになります。
副業の収入と経費を給与と同じ箱に入れてしまうと、副業が本当に家計の助けになっているのか分からなくなるんだ。事業収入と事業経費という別の科目を作っておけば、差し引きの実質的な貢献度がいつでも見えるようになるよ。
源泉徴収された報酬は「仮払税金」という資産として扱う
フリーランスの案件では、報酬から源泉所得税があらかじめ差し引かれて振り込まれることがあります。たとえば額面50,000円の報酬に対して10.21パーセントの源泉所得税が引かれると、実際に振り込まれるのは手取り45,000円です。ここで手取り額の45,000円だけを事業収入として記録してしまうと、2つの問題が起きます。ひとつは、確定申告のときに報酬の総額を集計し直す手間が発生すること。もうひとつは、源泉徴収された5,000円がどこにも記録されず、確定申告で還付される可能性のあるお金として追跡できなくなることです。
源泉所得税は、支払いすぎた税金として確定申告で戻ってくる可能性がある「仮払い」の性質を持ちます。価値が消えたわけではなく、還付という形で戻ってくる見込みがあるため、費用ではなく資産として扱うのが筋の通った処理です。これは前払費用と同じ発想で、支払った時点ではまだ確定していない負担を、いったん資産の科目で受け止めておく考え方です。
年間の所得によって還付される場合とされない場合がある
この記事だけの論点として、源泉徴収された税金が必ず戻ってくるとは限らない、という点を押さえておきましょう。副業の所得と本業の給与所得を合算した年間の所得税額が、源泉徴収された合計額より少なければ差額が還付されますが、所得税額の方が大きければ確定申告で追加の納税が発生します。家計簿の入力自体は源泉徴収された金額をいったん仮払税金として計上するだけで済みますが、確定申告の結果によって、この仮払税金がそのまま戻ってくるとは限らないことは覚えておく必要があります。
源泉徴収された税金は、必ず全額戻ってくるとは限らないんだよ。いったん仮払税金という資産で受け止めておいて、確定申告の結果が出たときに、還付か追加納税かに応じて精算する。この2段階で考えるのがポイントだよ。
家庭の取引を副業収入の視点で仕訳してみる
副業でWebサイト制作の案件を受注し、報酬50,000円から源泉所得税5,000円が差し引かれて手取り45,000円が振り込まれたケースで考えてみます。
例1 副業報酬が振り込まれた時点の仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 45,000円 | 事業収入 | 50,000円 |
| 仮払税金 | 5,000円 |
事業収入は報酬の総額である50,000円で計上し、実際に口座に入った45,000円と、源泉徴収された5,000円を借方の2行に分けて記録します。借方の合計55,000円ではなく、正しくは45,000円と5,000円を足した50,000円が貸方の事業収入と一致する点に注目してください。BokiBookでは「副業報酬5万円、源泉税5千円引かれて振込」のように話しかけるだけで、この内訳を含めた仕訳案を提案してくれます。
例2 副業のためにノートパソコンの周辺機器を8,000円で購入した
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 事業経費 | 8,000円 | 普通預金 | 8,000円 |
副業のために支払った費用は、家庭全体の消耗品費などと混ぜずに「事業経費」として分けておくと、副業単体の損益である事業収入から事業経費を差し引いた金額を損益計算書からすぐに読み取れます。確定申告で経費を集計する際も、家計簿の記録がそのまま根拠資料として使えます。
自宅のインターネット回線など、按分が必要な経費の扱い
この記事のもうひとつのつまずきポイントが、家事按分です。自宅のインターネット回線を仕事とプライベートの両方で使っている場合、通信費の全額を事業経費にはできません。仕事で使っている割合だけを合理的に見積もって按分する必要があります。たとえば月8,000円の通信費のうち、稼働時間から見て40パーセントを副業のために使っていると判断できるなら、3,200円だけを事業経費とし、残りの4,800円は通常の通信費として扱います。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 事業経費 | 3,200円 | 普通預金 | 8,000円 |
| 通信費 | 4,800円 |
按分の割合は、業務にかかった時間や部屋の面積など、合理的に説明できる基準で決めます。毎月同じ割合を使い続けるのであれば、按分の根拠を一度メモに残しておけば、確定申告のときにも同じ説明をそのまま使えます。
通信費のように仕事とプライベートの両方で使うものは、全額を事業経費にしちゃダメなんだ。仕事で使った割合だけを按分して、残りは普通の生活費として分ける。この割合の根拠を覚えておくことが、確定申告のときにも役立つよ。
科目を分けて記録するメリット
- 副業単体の収支が見える:事業収入と事業経費を分けて記録することで、「副業は本当に家計の助けになっているか」を損益計算書ベースで判断できます。
- 確定申告の集計が楽になる:源泉徴収額や経費を年間通じて仕訳しておけば、確定申告シーズンに1年分の取引を洗い出す手間が減ります。
- 給与収入との比較ができる:本業の給与収入と副業の事業収入を別科目にしておくことで、収入源ごとの推移を年単位で比較できます。
- 還付の見込みを見失わない:仮払税金という科目で源泉徴収額を残しておけば、確定申告で還付されるはずのお金を取りこぼしません。
BokiBookで副業収入を管理する
BokiBookの仕訳入力画面では、借方と貸方をそれぞれ複数行に分けて入力できます。副業報酬のように借方が普通預金と仮払税金の2行に分かれる仕訳や、通信費のように事業経費と通常の通信費に按分する仕訳も、そのまま登録できます。
事業収入や事業経費、仮払税金といった副業ならではの科目も、勘定科目の管理画面から自由に追加できます。一度登録しておけば、翌月以降の副業報酬もそのまま同じ科目で記録できます。副業のために使った経費も、勘定科目を「事業経費」として選んで記録しておけば、貸借対照表・損益計算書レポートで本業の給与収入と副業の事業収入・経費を分けて確認できます。1年間でどれだけ副業が家計に貢献したか、年末や確定申告の前にまとめて振り返るのに役立ちます。
事業収入、事業経費、仮払税金の3つを分けて記録するだけで、副業の実質的な貢献度と、確定申告で戻ってくるはずのお金の両方が見えるようになるよ。按分が必要な経費だけ、割合の根拠を覚えておくことを忘れないでね。