200万円の車を一括で買うと、家計簿ではその月だけ大赤字に見えます。けれども車は何年も使うものです。仕訳例と実際の画面で、簿記のロジックで車を資産として記録する減価償却の考え方を解説します。

車を買った月に、家計が大赤字になっていませんか

200万円の車を現金一括で買ったとします。家計簿にそのまま「車 200万円」と支出を記録すると、その月だけ収支が200万円のマイナスになり、まるで大失敗した月のように見えてしまいます。しかし実際には、その車は6年、10年と使い続けるものです。1回の支払いで消えてなくなる消費ではなく、家計の中に形を変えて残り続ける資産だと考えるほうが実態に近いはずです。

簿記のロジックでは、こうした長く使う高額な資産を購入したとき、支払った全額をいきなり費用にはしません。まず資産として貸借対照表に計上し、実際に使う期間(耐用年数)にわたって、毎年少しずつ費用に振り替えていきます。この、資産の価値を使用期間に応じて費用化していく手続きが減価償却です。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

200万円の車を買っても、その月に200万円の価値が消えるわけじゃないんだ。何年もかけて使う分だけ、少しずつ費用にしていく。だから買った月の家計が急に赤字に見えることもなくなるんだよ。

なぜ「使う期間」に分けて費用にするのか

簿記には費用収益対応の原則という考え方があります。ある支出は、それによって得られる便益が発生する期間に合わせて費用として記録すべき、という原則です。車は買った月だけでなく、その後何年もの間、通勤や買い物といった便益をもたらし続けます。であれば、購入代金という費用も、その便益が生まれる期間に分割して記録するのが理にかなっています。減価償却は、まさにこの原則を家計の資産にも当てはめる考え方です。

この原則は車に限りません。10万円のパソコンや30万円の家電のように、複数年にわたって使うものであれば、同じ考え方をあてはめられます。ただし家計では金額の小さいものまで律儀に減価償却すると管理が煩雑になるため、一般的には10万円以上の資産を対象にするのが現実的です。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

減価償却の対象にするかどうかの目安は、金額が10万円を超えて何年も使うものかどうかだよ。数千円の消耗品まで減価償却する必要はない。高額で長く使うものだけを資産として扱おう。

家庭の取引を減価償却の視点で仕訳してみる

200万円の車を現金一括で購入し、耐用年数6年、残存価額0円の定額法で減価償却する場合を例に、購入時と決算時の仕訳を見ていきます。

例1 車を200万円で購入し、現金で支払った

車を購入した時点の仕訳
借方金額貸方金額
車両運搬具2,000,000円現金2,000,000円

購入した時点では費用は一切発生しません。現金という資産が、車両運搬具という別の資産に姿を変えただけだからです。この時点で家計の純資産は変わりません。

例2 1年分の減価償却費を計上した

決算時、1年分の減価償却費を計上する仕訳
借方金額貸方金額
減価償却費333,333円車両運搬具333,333円

200万円を耐用年数6年で割った333,333円が、1年間で発生する減価償却費です。借方の減価償却費は損益計算書に表示される費用、貸方の車両運搬具は資産の帳簿価額を減らす記録で、貸借対照表に反映されます。この仕訳を毎年繰り返すことで、車という資産の価値が使用に応じて少しずつ費用化されていきます。入力する仕訳は年に1回だけです。決算のタイミングで費用に振り替える仕訳を忘れると、車両運搬具の帳簿価額がいつまでも購入時の200万円のままになり、実態より過大に資産計上された状態が続いてしまいます。

定額法と200%定率法、どちらを選ぶか

減価償却には、毎年同じ金額を費用にする定額法のほかに、200%定率法という方法もあります。200%定率法は、耐用年数の逆数に2を掛けた率を、その時点の帳簿価額に毎年かけて計算します。耐用年数6年であれば、1を6で割って2を掛けた約33.3%が償却率です。

200万円の車で比較すると、定額法は毎年333,333円で一定です。200%定率法は初年度が200万円の33.3%で666,667円、2年目は残った帳簿価額1,333,333円の33.3%で444,222円というように、初年度ほど大きく、年を追うごとに小さくなっていきます。

どちらを選ぶかは、車の実際の値下がり方にどちらが近いかで判断します。新車は購入直後の数年で大きく価値が下がり、その後の下落は緩やかになるのが一般的です。この実態に近づけたいなら200%定率法が向いています。一方、毎年同じ金額が費用になる定額法は計算がシンプルで、月々の家計を比較しやすいという利点があります。どちらの方式で計上しても、車を手放すまでに費用化される総額は200万円で変わりません。

迷ったときの目安は、車をローンで買ったかどうかです。ローンの返済は当初ほど利息の割合が大きく、元本の減りが遅い傾向があります。定率法で早めに車の価値を費用化しておけば、ローン残高が資産価値を上回ってしまう期間を短くできます。現金一括で購入した場合は、この心配がないため、計算がシンプルな定額法を選んでも実務上の不都合は少なくなります。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

選ぶ基準は「実態に近づけたいか、分かりやすさを取るか」だよ。新車の値下がりに近づけたいなら定率法、毎年同じ金額で管理したいなら定額法。どちらを選んでも、最終的に費用になる総額は変わらないから安心してほしいんだ。

耐用年数を迎える前に売却した場合

耐用年数を迎える前に、車を10万円で売却したとします。その時点の帳簿価額が15万円だった場合の仕訳です。

車を売却した時点の仕訳
借方金額貸方金額
現金100,000円車両運搬具150,000円
固定資産売却損50,000円

帳簿上に残っていた資産価値と、実際に売れた金額との差額は固定資産売却損として費用に計上します。逆に帳簿価額より高く売れた場合は固定資産売却益として収益に計上します。帳簿価額を日々把握できていれば、売却や買い替えの際にも、家計にとって得だったのか損だったのかを数字で判断できます。減価償却を記帳せず購入時の200万円のまま資産に残していると、この比較ができず、10万円で売れたことしか分からないまま終わってしまいます。

どんぐり先生
どんぐり先生のまとめ

売却額と帳簿価額がずれた分は、損か益のどちらかとして必ず記録するんだ。帳簿価額を把握していないと、この差額が計算できない。減価償却をきちんと続けていた人ほど、売却のときに得か損かがすぐに分かるようになるよ。

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookで車の減価償却を管理する

BokiBookには、こうした減価償却の計算を手計算せずに済む固定資産台帳の機能があります。車の取得日・取得価額・耐用年数・償却方法(定額法または200%定率法)を登録しておけば、毎年の減価償却仕訳を自動で計算して計上できます。

BokiBookの貸借対照表。資産の部に減価償却累計額がマイナスで並んでいる
貸借対照表の資産の部です。減価償却累計額がマイナス50,000円として並びます。間接法では取得価額をそのまま残し、減った分をこのマイナスの行で表すので、もとの値段と減った分の両方が同時に見えます。
BokiBookの各種設定画面。固定資産台帳と自動減価償却のカード
各種設定画面にある固定資産台帳のカードです。ここから車や家電などの資産を登録すると、耐用年数と償却方法に応じた減価償却仕訳が自動で計上されるようになります。定額法と200%定率法のどちらも選べます。

数年前に買った車を今から登録する場合も、購入時点までさかのぼって既に償却されているはずの金額を自動計算してくれるので、途中からでも正しい帳簿価額から記帳を始められます。購入直後の仕訳は、通常の仕訳入力画面から入力します。登録の具体的な手順は固定資産・減価償却を家計簿で管理する方法で画面つきで解説しています。

BokiBookの仕訳入力画面。借方と貸方に勘定科目と金額を入力する
仕訳入力画面です。車両運搬具のように、家計簿アプリでは通常用意されていない勘定科目も、勘定科目の管理画面からあらかじめ登録しておけば、この画面ですぐに選べるようになります。
どんぐり
どんぐりのまとめ

固定資産台帳に登録しておけば、減価償却の計算をずっと自分でやり続ける必要はなくなるよ。決算のたびに自動で仕訳が計上されるから、車を買ったときにまず登録することだけ覚えておこう。