生命保険料は「全額が費用」とは限らない

毎月引き落とされる生命保険料を、家計簿には「保険料」として全額を支出計上している人がほとんどだと思います。しかし生命保険には、大きく分けて「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類があります。掛け捨て型(多くの医療保険や定期保険)は保障の対価として消えていくお金なので、全額を費用として扱って問題ありません。一方、終身保険や養老保険、個人年金保険といった貯蓄型保険は、解約すれば「解約返戻金」というお金が戻ってくる仕組みを持っています。

簿記3級の視点で見ると、この解約返戻金は将来お金として返ってくる価値、つまり「資産」です。貯蓄型保険の保険料を全額費用として計上してしまうと、実際には手元に資産価値が積み上がっているのに、家計簿の上では「使って消えたお金」として扱われてしまい、実態とズレが生じます。

掛け捨て部分と貯蓄部分を分けて考える

保険会社の契約内容によっては、保険料のうち保障のための「危険保険料」部分と、積立に回る「貯蓄保険料」部分の割合が示されていることがあります。この割合が正確にわからない場合でも、契約時の解約返戻金の推移表(設計書)を見れば、支払った保険料のうちどれくらいが返戻金として積み上がっていくかをおおまかに把握できます。複式簿記では、この貯蓄に回る部分を「保険積立金」という資産科目、保障の対価として消える部分を「保険料」という費用科目に分けて記録します。

家庭の取引を仕訳してみる

毎月18,000円の終身保険料を口座振替で支払っており、そのうち貯蓄部分が15,000円、保障部分(掛け捨て部分)が3,000円という契約を例に、仕訳を見てみましょう。

例1:終身保険の保険料18,000円が普通預金から引き落とされた

借方金額貸方金額
保険積立金15,000円普通預金18,000円
保険料3,000円

普通預金という資産が18,000円減る一方、その大半の15,000円は「保険積立金」という別の資産に形を変えて残り、保障部分の3,000円だけが「保険料」という費用として損益計算書に計上されます。全額を保険料として処理する場合に比べて、家計の赤字幅が15,000円分小さく、実態に近い数字になります。

例2:掛け捨て型の医療保険料5,000円が普通預金から引き落とされた

借方金額貸方金額
保険料5,000円普通預金5,000円

解約返戻金がほとんどない掛け捨て型の医療保険や定期保険は、これまで通り全額を「保険料」という費用で計上して問題ありません。貯蓄性の有無を見極めて、仕訳を使い分けるのがポイントです。

例3:加入していた養老保険が満期を迎え、満期保険金80万円(積み立てた保険積立金は72万円)を受け取った

借方金額貸方金額
普通預金800,000円保険積立金720,000円
保険差益80,000円

これまでコツコツ積み立ててきた「保険積立金」という資産が、満期を機に「普通預金」という資産に姿を変えて戻ってきます。積み立てた金額を上回った差額8万円は「保険差益」という収益として計上します。これまでの保険料の一部が資産として記録されていたからこそ、満期時にどれだけ増えたのかが仕訳の上でも一目でわかります。

資産として記録するメリット

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookでは、勘定科目の管理画面から「保険積立金」のような資産科目を自由に登録できます。毎月の保険料引き落としは、貯蓄部分を保険積立金、保障部分を保険料として1つの取引の中で貸方・借方に振り分けて入力するだけで、貸借対照表と損益計算書の両方に自動で反映されます。

貯蓄部分と保障部分の内訳が契約書ですぐにわからない場合は、大まかな割合で按分しても、複式簿記のしくみそのものは変わりません。「〇〇生命の保険料18,000円、うち15,000円は積立分」のように話しかけるだけで仕訳案を提案してくれるAIチャット仕訳機能を使えば、毎月の按分入力も数秒で済ませられます。