学資保険は「教育費という名前の貯蓄型保険」

子どもの入学・進学に備えて学資保険に加入している家庭は多いと思いますが、毎月の保険料を家計簿に「保険料」や「教育費」として全額支出計上してしまうと、実際には将来戻ってくるお金を積み立てているのに、家計簿の上では「使って消えたお金」として扱われてしまいます。学資保険は以前取り上げた貯蓄型の生命保険と同じく、解約・満期時にお金が戻ってくる仕組みを持つ「貯蓄型保険」の一種です。

ただし学資保険には、一般的な貯蓄型保険と違う2つの特徴があります。ひとつは、満期保険金を一度にまとめて受け取るのではなく、中学・高校・大学入学のタイミングで「祝い金」として分割して受け取る契約が多いこと。もうひとつは、契約者(親)の死亡保障や医療特約が付いているタイプでは、その保障コストの分だけ将来受け取る総額が払込保険料の合計を下回る「元本割れ」が起こりうることです。この2点を踏まえて仕訳のしかたを見ていきましょう。

保険料のうち「積立部分」だけを資産にする

学資保険の保険料も、生命保険と同様に「保障のための費用部分」と「将来戻ってくる積立部分」に分けて考えます。契約時の設計書(保険設計書・契約のしおり)には、経過年数ごとの解約返戻金の推移が記載されているので、そこから積立部分のおおよその金額を把握できます。複式簿記では、積立部分を「保険積立金」という資産科目、保障のための費用部分を「保険料」という費用科目に分けて記録します。

家庭の取引を仕訳してみる

毎月10,000円の学資保険料を口座振替で支払っており、そのうち積立部分が9,000円、保障部分(医療特約分)が1,000円という契約を例に、加入から祝い金・満期保険金の受け取りまでを順番に見てみましょう。

例1:学資保険料10,000円が普通預金から引き落とされた

借方金額貸方金額
保険積立金9,000円普通預金10,000円
保険料1,000円

普通預金という資産が10,000円減る一方、そのうち9,000円は「保険積立金」という別の資産に形を変えて家計に残ります。損益計算書に影響するのは、保障部分にあたる1,000円だけです。

例2:中学入学時に「祝い金」として20万円を受け取った(それまでの保険積立金の残高は18万円)

借方金額貸方金額
普通預金200,000円保険積立金180,000円
保険差益20,000円

祝い金は満期保険金の一部を先に受け取る仕組みなので、積み立ててきた「保険積立金」という資産の一部が精算されたと考えます。受け取った20万円のうち、積み立てた18万円を上回る2万円だけを「保険差益」という収益として計上し、残りの積立部分は高校・大学入学時に受け取る祝い金・満期保険金に備えて資産のまま残しておきます。

例3:大学入学時に満期保険金30万円を受け取った(残っていた保険積立金は32万円)

借方金額貸方金額
普通預金300,000円保険積立金320,000円
保険差損20,000円

医療特約などの保障コストが積立額を上回っていた場合、受け取る満期保険金の総額が払込保険料の合計を下回る「元本割れ」が起こります。この例では、資産として積み立ててきた32万円に対して受け取れたのは30万円だったため、差額の2万円を「保険差損」という費用で計上します。全額を保険料として費用計上していた場合には見えてこない、「積み立てた金額に対して実際どれだけ増減したか」という学資保険本来の成果が、この仕訳を通じて初めて数字に表れます。

学資保険を資産として記録するメリット

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookでは、勘定科目の管理画面から「保険積立金」のような資産科目を自由に追加できるので、学資保険料の口座振替を「保険積立金+保険料」の複合仕訳としてそのまま入力できます。設計書に記載された積立部分の金額を目安に、毎月同じ割合で入力していけば、貸借対照表に教育資金の積立状況が資産として反映され続けます。

祝い金や満期保険金を受け取ったときも、受取額と保険積立金の残高との差額を保険差益・保険差損として入力するだけで、損益計算書にその年の成果が正しく計上されます。子どもの進学のたびに繰り返される「積立→受け取り」の流れを毎回同じ形式で記録できるので、教育資金が今どれだけ準備できているかを家計全体の資産状況とあわせて確認しやすくなります。