スーパーやコンビニで貯まるTポイントや楽天ポイントは、レシートに書かれた金額だけを記録する家計簿には出てきません。使えば現金と同じ価値になるこの「隠れ資産」を複式簿記でどう記録するか、会計時にその場で充当されるポイントとの処理の違いまで含めて、具体的な金額で解説します。
ポイントは家計簿に出てこない「隠れ資産」
スーパーやコンビニで買い物をするたびに貯まるTポイントや楽天ポイント、クレジットカードのポイント。多くの人はレシートに書かれた金額しか家計簿につけないため、財布の外で静かに貯まっていくポイントは記録に残りません。しかし1ポイント1円で使えるものであれば、それは紛れもなく家計の財産です。複式簿記の視点で見ると、ポイントは現金や預金と同じ「資産」の一種として扱うことができます。
以前取り上げたクレジットカード払いの未払金が「後で払う義務」を見える化する仕組みだったのに対し、ポイントはその逆で「後で使える権利」を見える化する仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。
ポイントが資産になる理由
簿記3級では、資産を「将来お金やそれに代わる経済的な価値をもたらす財産」と考えます。ポイントは次の買い物で支払いの一部に充てられる、つまり将来の支出を減らす権利を持っているため、この定義にあてはまります。ただし現金と違い、有効期限があったり、提携先によって価値が変動したりする不確実性もあります。そのため実務上は「使ったときに初めて費用の値引きとして処理する」簡易的な方法も広く使われており、どちらが正解というわけではありません。家計簿としては、貯まっている残高を把握したいかどうかで使い分けるとよいでしょう。
1ポイント1円で使えるなら、それは現金や預金と同じ資産だよ。ただし有効期限や価値の変動という不確実性があるから、必ず資産計上しなきゃいけないわけじゃない。残高を追いたいかどうかで決めればいいんだ。
家庭の取引をポイントの視点で仕訳してみる
ここでは、ポイントを「ポイント」という資産科目で管理する方法を例に見ていきます。
例1 スーパーで10,000円分の食料品を現金で買い、200円相当のポイントが付与された
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 食費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ポイント | 200円 | 雑収入 | 200円 |
買い物そのものの仕訳とは別に、付与されたポイントを、資産科目である「ポイント」の増加として記録し、相手科目には雑収入を使います。これにより、レシート上の支払額だけでは見えない200円分の家計の増加が、貸借対照表にきちんと反映されます。
例2 貯まったポイント3,000円分と現金2,000円を使って、5,000円の買い物をした
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 日用品費 | 5,000円 | ポイント | 3,000円 |
| 現金 | 2,000円 |
ポイントを使った分は、資産である「ポイント」の減少として貸方に記録します。現金払いの部分と合わせて貸方の合計が借方の日用品費と一致するので、貯めていた資産を取り崩して支払いに充てたことが一目で分かります。
例3 有効期限切れで1,000円相当のポイントが失効した
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 雑損失 | 1,000円 | ポイント | 1,000円 |
使わないまま失効してしまったポイントは、資産価値がゼロになったということなので、雑損失として費用計上し、ポイントの残高をゼロに近づけます。この仕訳を入れておかないと、実際には使えないポイントが資産として残り続け、貸借対照表の資産が実態より多く表示されたままになってしまいます。
付与されたら資産の増加、使ったら資産の減少、失効したら雑損失として費用計上。現金の入出金を記録するのと同じ発想で、3つとも扱えるよ。
ポイントの処理方法を使い分ける
ここまでの例は、ポイントをいったん貯めておいて、後日の買い物で取り崩す「後日充当型」を前提にしていました。ですがポイントには、会計のその場で自動的に充当されるタイプもあります。このタイプの見分け方を間違えると、同じ200円のポイントでも処理の手間が大きく変わってきます。
会計時にその場で充当されるポイント
PayPayポイントやdポイントの一部のように、支払い画面で使う分をその場で選び、支払い金額から直接差し引かれるタイプのポイントがあります。この場合、5,000円の買い物のうち500円分をその場で充当し、実際に支払ったのが4,500円だったとすると、記録すべき仕訳はこれだけです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 日用品費 | 4,500円 | 現金 | 4,500円 |
ポイントを使ったという事実自体は仕訳に登場しません。会計時にその場で充当されるポイントは、支払う前にすでに金額が確定した値引きとして扱われているため、経済的な実態としては最初から4,500円の買い物をしたのと同じだからです。例2のように「ポイント」という資産科目を取り崩す仕訳を別途入れる必要はありません。判断が分かれるのはここで、同じ「ポイントを使う」という行為でも、その場で充当されるか、貯めた残高から後で使うかによって、仕訳の本数がまったく変わります。
迷ったときは、レシートや決済画面に「使用前の金額」と「充当後の金額」が両方印字されているかどうかを確認するとよいでしょう。両方が印字されている場合は、その場で充当されるタイプであることが多く、充当後の金額だけを記録すれば足ります。一方、ポイントの利用履歴が別画面やアプリでしか確認できず、レシートには反映されていない場合は、後日充当型として資産科目で管理したほうが残高を追いやすくなります。
管理を軽くしたいとき
提携先ごとにポイントの種類が多く、付与のたびに仕訳するのが負担に感じる場合は、後日充当型のポイントについても無理に資産計上せず、使ったときだけ「支払った金額が少なくなった」とシンプルに記録する方法でも構いません。たとえば例2と同じ5,000円の買い物のうち3,000円分をポイントで払ったなら、日用品費を2,000円だけ計上し、ポイント部分は仕訳に登場させない、という考え方です。ポイント残高の可視化はできなくなりますが、日々の記帳はぐっと軽くなります。まずは楽天ポイントやTポイントなど、よく使う1〜2種類だけを資産科目として管理してみるのもおすすめです。
ポイントの処理で迷ったら、会計時にその場で充当されるタイプか、後で使うために貯まっていくタイプかをまず見分けるといいよ。その場で充当されるなら、値引き後の金額をそのまま記録するだけで十分なんだ。
BokiBookでポイントを管理する
BokiBookでは勘定科目のカスタマイズ機能から「ポイント」という資産科目を自由に追加できます。買い物の仕訳を入力するときに、付与されたポイント分だけ「ポイント/雑収入」の仕訳を追加し、使うときには「費用/ポイント」で取り崩せば、レシートには出てこないポイント残高も貸借対照表にきちんと反映されます。
提携先ごとに補助科目を分けておけば、「楽天ポイントはあと何円分残っているか」も総勘定元帳から確認できるので、有効期限が近いポイントを使い忘れて失効させてしまう、といったことも防ぎやすくなります。
ポイントの管理で一番大事なのは、種類ごとに残高を追うかどうかを最初に決めることだよ。追うと決めたら資産科目を作って、付与と失効まで忘れず記録する。それだけで貸借対照表の数字がレシートより正確になるよ。