退職金を「今月の収入」に混ぜてしまうと家計の実態が見えなくなる

定年退職や転職のタイミングで受け取る退職金は、数百万円単位になることも珍しくありません。一般的な家計簿アプリでこれを普通に「収入」として記録すると、その月だけ収入が跳ね上がり、月ごとの収支グラフが大きく歪んでしまいます。結果として「今月は黒字だった」という数字が実態を表さなくなり、翌月以降の家計改善のヒントとしても使いにくくなります。

簿記3級で学ぶ複式簿記では、性質の異なる収入を別々の勘定科目で管理します。毎月の給与を「給与収入」、退職金のような一度きりの大きな収入を「退職金収入」のように分けて記録すれば、通常の生活費と収入のバランスを見るときは給与収入だけを見ればよく、退職金による一時的な増加に惑わされません。以前紹介した賞与(ボーナス)の仕訳と同じ考え方ですが、退職金は金額の規模も、人生で受け取る回数もまったく違う「特別な一時収入」として捉えるのがポイントです。

手取り額で記録すれば税金の計算まで気にしなくてよい

退職金には「退職所得控除」という大きな控除枠があり、勤続年数が長いほど税負担が軽くなるように設計されています。会社側で所得税・住民税が源泉徴収されたうえで振り込まれるため、家計簿としては振り込まれた手取り額をそのまま記録すれば十分です。控除額の計算式を自分で追いかける必要はなく、通帳に入金された金額を「退職金収入」として仕訳するだけで、家計の記録としては正確なものになります。

家庭の取引を仕訳してみる

退職金の受け取りと、その一部を投資に回すケースを例に、それぞれの仕訳を見てみましょう。

例1:退職金2,000,000円(源泉徴収後の手取り額)が普通預金口座に振り込まれた

借方金額貸方金額
普通預金2,000,000円退職金収入2,000,000円

普通預金という資産が増え、退職金収入という収益が発生する取引です。給与収入とは別の勘定科目にしておくことで、損益計算書を見たときに「今月は退職金があったから収入が多い」とひと目で判断でき、通常月との比較を誤りません。

例2:退職金の一部500,000円をNISA口座に入金し、投資信託を購入した

借方金額貸方金額
有価証券(NISA)500,000円普通預金500,000円

普通預金という資産が、同じ資産である有価証券に交換されただけの取引なので、支出にはなりません。退職金の使いみちを「生活費として消費した分」と「資産として形を変えただけの分」に分けて記録できるのは、勘定科目を柔軟に扱える複式簿記ならではの強みです。NISA・株式投資の仕訳で紹介した考え方と同じ要領で記録できます。

収入を分けて記録するメリット

ここまでの内容を、実際にBokiBookで仕訳してみましょう。

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BokiBookで退職金を管理する

BokiBookでは、勘定科目の管理画面から「退職金収入」のような収益科目を自由に登録でき、毎月の「給与収入」とは別に記録を分けられます。退職金の入金は数タップで仕訳でき、「スーパーで2500円使った」のように話しかけるだけで仕訳案を提案してくれるAIチャット仕訳機能を使えば、「退職金200万円が振り込まれた」と伝えるだけで仕訳案を作成できます。

退職金の一部をNISAに回した場合も、資産科目どうしの振替として記録しておけば、貸借対照表・損益計算書レポートで「生活費として使った分」と「資産として残っている分」を分けて確認でき、退職後の資産計画にもそのまま役立てられます。